グローバルブランディングとは?

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まず「フィロソフィー」ありき

日本で有名な会社、商品名でも、グローバルとなると話は別です。海外の、例えばアメリカの有名ブランドは、そのブランドを知ってもらうために、とてつもない予算、考え抜かれた戦略、ブランドの中身である機能価値と情緒価値が、お客さまのマインドシェアを確保するために、詳細な市場調査をもとに、しっかりと規定し、それをさまざまなタッチポイントで伝える努力を怠りません。

欧米やアジア各国で、自社名、自社商品名をブランディングしようとする時、その機能や、イメージは大変重要ですが、もっとも重要なのは、哲学=フィロソフィーと言われます。なぜでしょうか?今日はそのお話をしたいと思います。

ブランドとは何か?

Nikeは運動靴を売っていません。彼らは、「スポーツの喜びと挑戦心の尊さ」を一人でも多くの人に伝えたい、としています。Teslaは電気自動車を売っていません。彼らは、「地球規模でエネルギー問題の解決と環境負荷の低減」をしたい、としています。

ブランドとは、結果まわりまわって、商品を売り、利益を生み、社員を抱え、事業を行っていますが、その事業の主たる目的を、社会(=私たちが生きるコミュニティ)を少しでも良くしていくことに置いています。

それゆえ、そのブランドは、この星に存在を許され、皆から愛されることを許され、ポジティブな気持ちで顧客が使用することができる。2024年の今、品質がいいから、機能がいいから、丈夫だから、かっこいいから、だけでは、たとえ一時期は売れたとしても、サステナブルではないのです。

Be the good

逆に考えれば、とてもいい商品があったとして、(日本製品ならどれでも間違いなく品質の良い商品だと思いますが)それが「この星に存在してもいい理由」(きっとあるはずです。経営者の方は、きっとその商品をそのような気持ちで作ったと確信しています)をきちんと決め、それを継続的に、かつスマート(賢く)に伝えていくことを怠らなければ、そのブランドは50年、100年と利益を生み出し続けるものになるでしょう。

市場占有率No.1になる、唯一の方法

御社の商品や、御社自身が、他に類を見ないユニークなものであれば、競合社や競合商品はないかもしれませんが、ほとんどそんなことはありません。特に日本製品は、基本は欧米製品からヒントを得て作るものが多く、完全なオリジナル商品というものは、まれです。しかし、日本製品の特徴は、そのオリジナルになった製品を、賢く取り込みながら、それを超える品質と機能、そしてユニークさを兼ね備えたものにしていく点においては、世界に比類なき国といってもいいでしょう。

自社ブランドをグローバル市場に送り出す前に知らねばならないことがあります。それは「競合は誰か」(市場占有率No.1は誰か)、「競合は誰にどのくらい支持されているのか」「それはなぜか」です。

市場占有率No.1のブランドに立ち向かい、それを駆逐してNo.1になることは、非常に難しい。というか、ほぼ無理です。彼らには大規模なファン層(つまり味方)がいて、御社の予算の数百倍のブランド予算を持っています。たとえ市場参入しても、最も簡単に潰されます。

ですから、まず相手を知り、どの市場を席巻しているかを知り、どこに「空席」があるかを探す必要があります。空席は「場所」かもしれないし、「ターゲット」かもしれません。「コンセプト」の場合もあります。とにかく手薄なところを探して、その場所で、広告宣伝費を競合他社より多く投下すること。それがたとえ、極少な市場であろうともかまいません。まずはNo.1を取ること。その「点」を少しずつ増やし、点をつないで、線にして、線で囲んで面としていく。その結果として、No.1の座を取ることができます。点とは、「定期収入が見込める層、または場所」と言ってもいいです。

チェック

Z世代に好まれるコンテンツとは何か?

昨今のZ世代は、TVを全く見ません。彼らはソーシャルメディアを核として、コネクテッドTV(Netflix、Hulu、Apple TV、Amazon Prime Videoなど)を日々視聴しています。この流れは、Z世代だけでなく、X世代(50歳後半以下)にも広がっていて、欧米では、オンラインがメディアのメインとなります。そういう点で、日本とは圧倒的に違います。

Z世代に好まれるコンテンツイメージ

ソーシャルメディアにおけるZ世代の特徴は、「広告だとわかっていて、それに乗っかる」というものがあります。その上の世代は、タイアップ広告などを嫌う傾向が強いのですが、若者は違います。広告もひとつの情報と捉え、自分が良い、好きだと思えば、肯定的に捉える傾向があります。

そこで行われている中心となるコンテンツはクールでセンスのいい動画であり、インフルエンサーPRであり、ユーザー同士のコミュニケーション(プライベートメッセージ含む)に入り込むこと。あらゆるオンラインコミュニケーションが戦略され、意図され、コントロールされます。炎上対策も巧みに利用され、また消火もされ、高度に操られています。

ですので、御社がグローバル市場で必要なチームは、優秀なソーシャルメディア含むデジタルメディアのエキスパート、高品質なコンテンツを制作できるクリエイティブチームとなります。著名なインフルエンサーにアプローチできるPRエージェントがいれば、さらに有効でしょう。

コンテンツ制作で大切なポイントは?

動画を制作するにあたって、優秀で欧米市場で経験豊富なクリエイティブチームを採用することは基本ですが、その時、「お客さま(=ターゲット)は何を求めているか」をするどくキャッチすることが最も重要です。これはマーケターが出すような「Authentic」とか「Independant」とか言った論理的なマーケ用語ではなく、もっと感覚的で情緒的な世界です。おそらく、日本企業の宣伝担当の方にはほぼ理解不能だと思います。これは、クリエイティブチームを信じるしかないです。それゆえ、チームのキャスティングには神経を使う必要があるかもしれません。

様々なコンテンツ

欧米のクリエイティブスタンダードは、日本のそれとは全く違います。カメラワークもアングルも色もモーショングラフィックも何もかもです。日本国内のビデオクリエイターを、たとえ彼が日本で若者に支持され、トレンドとなっていても、欧米でWorkするとは限りません。クリエイティブとは「別世界のもの」と考えてください。マーケティング上の狙いを決めたら、クリエイターに任せる、というスタンスが良いかもしれません。効果検証時に、スタッフの入れ替えはありです。

アウトレット(コンテンツの出口)は主にどこか?

前述した通り、人々のメディア接触態度は近年大きく変化しています。一般のテレビ視聴は、高年齢化し、ティーンエージャー〜生産者人口の上限である60歳半ばぐらいまで、ほぼ全ての人が毎日接触するメディアはテレビではなく、ソーシャルメディアになっています。プッシュ通知でニュースもきます。Facebookのタイムラインには、毎日大統領選挙の寄付の呼びかけ広告が入ります。ソーシャルメディアに最適化されたコンテンツを考えていくべきです。

コンテンツの考察

他にはEmail、テキスト、看板などがあるでしょう。人々が生活する上で視線に入ってくるもの、そのすべてがメディアの可能性があります。その中でも特にソーシャルメディアは、最小の予算と努力で、最大の人数に効率よくリーチできるメディアとして、世界的ブランドは積極的に使用しています。

コンテンツの評価はどうするか?

デジタルメディアの良い点は、その具体的結果と効果が早く見える化できる点です。何人がその広告を見たか。何人がクリックしたか。何人が自社サイトや販売サイトに来たか。何人が途中でドロップしたか。何回Googleサーチされたか。そのうち何人がリンクをクリックしたか。そのすべてが、ほぼ無料で見ることができます。

KPI

大切なのは、その結果をもとに、キャンペーンを分析し、改善点を見つけ出し、コンテンツや出口、ターゲットなど、さまざまな変数を調整し、キャンペーンを改善していくこと。そのために、前述の通り、デジタルメディアのエキスパートが必要です。そして、ABテストをしたり、AI分析を行ったり、仮定と検証を重ねながら、結果を向上させていく。根気のいる作業です。

グローバルブランディングの未来は?

デジタルという科学のアプローチと、クリエイティブという心のアプローチを合わせて、ブランドを作り上げていく。その時忘れてはいけないのが、哲学(=フィロソフィー)。この三つ巴の三角形の中に自社ブランド、会社名でも商品名でも、を置く。デジタルメディアは今後も新しいものが現れ、様相は変わっていくことでしょう。しかし、「人が見る・聞く」という点においては、それがTVでもInstagramでも同じです。単に、コミュニケーションが高度化し、「ただ見る」TVから「やりとりできる」ソーシャルメディアへと変貌し、それは今後も進化していきます。その進化に遅れないようについていくことは必須です。

哲学(フィロソフィー)

それ以外の「クリエイティブ」と「哲学」へのアプローチは、人間というものが変わらない限り、そうそう変化するものではない。クリエイティブは、流行り廃りの中で、その「タッチ」は変わっていくでしょうが、その基本である、愛、美、真は変わらない。

そして「哲学」は、時代が変わろうとも、変わるべきではありません。御社がそのような素晴らしい「哲学」を手に入れ、グローバルで戦えるクリエイティブチームと、欧米マーケットを知るデジタルメディアエキスパートを手にすれば、グローバルブランド構築も夢ではありません。

日本企業が大手広告代理店に発注する世界ではない、このグローバルブランディングの世界。ご興味はありますか?

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